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トルソのソルト|Salt of Torso (2014‐2016)


「Torso of Salt」の反対は「Salt of Torso」である。
「そるとのとるそ」の反対は「そるとのとるそ」である。


3種類の設計図

a

モチーフ(ソルトのトルソ…塩でできたトルソ―)の向かいに鏡を置く。モチーフは左右反転した像となって鏡に映る。
その鏡の表面にモチーフを描く。描くのは鏡に映った状態のモチーフのイメージではなく、
それを左右反転させたもの――つまり元の「見え」(鏡を介さずに、モチーフと絵の間に立った人の位置から見た モチーフの向き)である。
制作するときにモチーフと鏡とを設置していた場所をそのまま展示場所とする。
鏡に描かれるモチーフのサイズは、①モチーフの原寸大/②鏡に映っている大きさのいずれか(作品による)。
①はモチーフと鏡を結ぶ線上の中点に、②は鏡の前に、鑑賞者の位置を想定する。

b

イーゼルに立て掛けた木製パネルの後ろ側にモチーフを置く。
パネルの正面側に立つ画家の視点から、透視するようにモチーフのある風景を描く。
パネルの裏側は一面が鏡になっていて、モチーフが映り込む。
モチーフは表で正転・裏で反転したイメージとして支持体であるパネルに投影される。

c

「絵画は鏡*」という言説から、「すべての絵画を鏡と呼ぶことができるなら、肖像画も鏡である」と仮定。
鏡に映った像を定着させた自画像は鏡に喩えられる。肖像画を引き合いに出したのは、 像の向きにおいて自画像と反対であるため。
ソルトのトルソを二体用意してモチーフにする。
絵①は、肖像画を描くときのようにキャンバスの向こう側にトルソ①を置いて描く。
絵②は、自画像を描くときのようにキャンバスのこちら側にトルソ②を置き、それを鏡に映し、映った像を見ながら描く。
そのように描いたときのイーゼルや椅子の位置は固定したまま、絵①と絵②を入れ換える。

* Leon Battista Alberti著『絵画論(Della pittura)』より


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